防衛機制(適応機制) とは | 意味・まとめ by wikiSmart ウィキスマート

心理学

フロイトによれば、防衛機制は、超自我(スーパーエゴ)とエス(イド)の対立を自我が解決するための方法である。防衛機制の使用にはエロス(ギリシャ神話の愛の神、ローマ神話のキューピッドにちなんで名づけられた)が必要であり、適度に使用すれば役に立つという。防衛機制の使用は、エス(イド)と超自我(スーパーエゴ)の葛藤を和らげるかもしれないが、使いすぎたり、対立ではなく再使用になると、不安や罪悪感をもたらし、うつ病などの精神障害を引き起こす可能性がある。この分野では、娘のアンナ・フロイトが最も重要な仕事をしたが、彼女はジークムントが防衛機制を創出したと認めている。防衛機制には、否認、反動形成、置き換え、抑圧/抑止、投影(投射)、知的化、合理化、補償、昇華、退行などがある。

私たちは様々な欲求を持っているが、それが達成できないないと「欲求不満状態」に陥る。その(欲求が叶えられない)状態に適応するため状況に合わせたさまざまな態度をとったり行動するが、そのメカニズムは防衛機制(適応規制)と呼ばれる。フロイトは以下のようなものを防衛機制(適応規制)の例に挙げた。

  • 「否定」は、不快な真実や自我を脅かす現実に気づかないようにするときに起こります。例えば、成績表で悪い評価を受けた学生が、「成績は関係ない」と自分に言い聞かせるような場合である。(フロイトの否認とニーチェのルサンチマン、そしてニーチェが「群れ」や「奴隷」の道徳に帰した「価値の再評価」に驚くほどの類似性があると主張した初期の作家の中もいた。)
  • 「反動形成」とは、人が無意識に望んでいることと、意識的に反対のアプローチをとるときに起こる。例えば、ある人が他の人種に対して暴力を振るい、その人がその人種は劣っていると主張しているとき、実は無意識のうちにその人自身に対し劣っていると感じているケースがあげられる。
  • 「置き換え」とは危険なものから安全なものに感情を振り向けることを言う。「置き換え」は、感情を「危険」なものから「安全」なものに振り向けることである。例えば、友達にぶつからないように枕を殴るなど、である。
  • 「抑圧(Repression)」とは、戦争体験などあまりにつらい体験を”無意識のうちに”意識から追い出してしまうことであり「抑止(suppression)」とはそれを”意識的に”行おうとすることである。
  • 「投影(投射)」とは、人が自分の望ましくない思考、動機、欲求、感情、つまり基本的に自分自身の一部を誰か他の人や何かに映し出すことである。例えば、アリスはボブが好きではないとき、自分がボブを好きではないことを認めるのではなく、自分の感情をボブに映し出し「ボブは自分を好きではない」と言うようなことである。
  • 「知性化」とは、受け入れ難い出来事や状況、感情などのストレスとなる出来事から知識を用いて客観的に物事を理解・処理し、感情的に自己を切り離すことである。知性化は、現実を受け入れるよりも、合理化によって達成されることが多い。「知性化」の状態にある人は自己を切り離すための言い訳をすることかもしれない。

例)

  • 振られてしまったときに、最近の日本の未婚率は急上昇しているから仕方のないことだ、と自分を納得させる
  • 可愛がっていた犬が死んでしまったとき「この子は平均寿命より長生きしたんだから」と自分に言い聞かせる。
  • 就職活動に失敗してしまったとき、大企業に就職することだけが人生ではないから大丈夫、と考える

合理化とは、受け入れ難い出来事(失敗、恥)や満たされない欲求に対して、もっともらしい理由や社会的に認められやすい説明を加えて正当化し自分自身を納得させようとすること。辛い現実について自分なりの答えや解釈によって対処しようとする。

例)

  • 自分がこんな性格になったのは全部親のせいだ、とする
  • 恋人に振られたときに、お父さんもお母さんもあまり気に入っていない人だったからこれで良かった、と思い込む
  • 子どもを叩いてしまうことを躾のためと理由付けする
  • 入試で落ちた大学に対し「裏口入学で問題になった大学だから入らなくてよかった」
  • 補償とは、ある人が他の行動を達成できないために、ある行動をとることである。例えば、上の子がすでに立派な学者であるために、2番目に生まれた子が注目を集めるために道化をするような場合だ。←分かりづらい
  • 昇華とは、衝動を社会的に認められた行動に向けることだ。例えば、エミリー・ディキンソンのような詩人が人生を表現するために暗くて憂鬱な詩を使うことだ。←分かりづらい

*ニーチェ哲学の中心テーマの一つは「あらゆる価値の再評価」である。ニーチェは人々に道徳的・科学的・美的価値を問い直せと訴えていた。また、あらゆる価値体系と哲学体系が、どのような人生を提示しているか考えてみよ、と問いかけた。

防衛(適応)機制の種類 行動例
抑圧 受け入れがたい苦痛な体験を無意識下に閉じ込め、心理的安定を図る。 ・性的衝動や上司への憎しみを押さえ込み、夢に見る。
・よく言い間違いをする。
同一化 欲求を実現できない自分と、実現しているほかのをものを同一とみなす。 憧れのタレントやモデル、サッカー選手に自分を重ね、振る舞いなどをまねる。
代償 本来の目標が達成できないとき、代わりの満足を与えてくれる別の目標に向かう。 A大学合格が難しいとき、B大学を受験する。
補償 自分の欠陥の克服のために、ほかの特徴を伸ばして他人に勝ろうとする。 勉強が苦手な学生がスポーツで好成績を収める。
合理化 自分の失敗や職の理由を、社会的に認められている理由で正当化する。 入試で落ちた大学に対し、「裏口入学で問題になった大学だから入らなくてよかった」と納得する。
投射 失敗の原因は自分にあるのに、ほかに責任があるかのように強調する。 試験に失敗すると「教え方や採点法が悪い」と教師を攻撃する。
逃避 病気になるなどして困難な状況から逃げ出す。 学校に行きたくないので、無意識的に病気(頭 痛や腹痛など)になって休む(不登校)。
退行 現在の生活より未熟な年齢の行動に戻ろうとする。 指しゃぶりをする、夜尿、ホームシックなどにな る。自分の年齢よりも年下の行動をとる。
昇華 社会的に高く評価されているものに代えて表現する。 失恋や離婚後、恋人やパートナーとの関係を絵 や小説で表現して満足する。

 

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