抗うつ薬 とは | 意味・まとめ by wikiSmart ウィキスマート

心理学

抗うつ薬(こううつやく、英: Antidepressant)とは、典型的には、抑うつ気分の持続や希死念慮を特徴とするうつ病のような気分障害(MD)に用いられる精神科の薬である。大うつ病性障害(単極性うつ病)では、薬物療法が第一選択となることが多く、特に重度のうつ状態や自殺念慮がある場合には重要である。

不安障害のうち全般性不安障害やパニック障害、社交不安障害(SAD)、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)にも処方される。慢性疼痛、月経困難症、更年期障害、耳鳴りなどへの適応外使用が行われる場合がある。しかし、適用外の処方には議論があり、アメリカ合衆国司法省による制裁が行われた例もある。

抗うつ薬の種類

日本で用いる事ができる抗うつ薬の一覧
系統 一般名 商品名 発売年
三環系 イミプラミン イミドール
トフラニール
1959年
アミトリプチリン トリプタノール 1961年
トリミプラミン(英語版) スルモンチール 1965年
ドスレピン(英語版) プロチアデン 1965年
ノルトリプチリン ノリトレン 1971年
クロミプラミン アナフラニール 1973年
アモキサピン アモキサン 1980年
ロフェプラミン(英語版) アンプリット 1981年
四環系 マプロチリン ルジオミール 1981年
ミアンセリン テトラミド 1983年
セチプチリン テシプール 1989年
SSRI フルボキサミン デプロメール
ルボックス
1999年
パロキセチン パキシル 2000年
セルトラリン ジェイゾロフト 2006年
エスシタロプラム レクサプロ 2011年
SNRI ミルナシプラン トレドミン 2000年
デュロキセチン サインバルタ 2010年
ベンラファキシン イフェクサー 2015年
NaSSA ミルタザピン リフレックス
レメロン
2009年
その他 トラゾドン デジレル
レスリン
1991年
ボルチオキセチン トリンテリックス 2019年

開発された年代順に、古いものから「MAO阻害薬→三環系→四環系→SSRI→SNRI→NaSSA」となり、新しく開発された薬ほど、脳内のターゲットにより選択的に作用するので、治療効果が高く、副作用が少ない。しかし、実際にどの抗うつ薬が使用されるかは、個人個人の症状に応じて決定される。さらに、必要に応じて、抗不安薬、睡眠薬も使われる。

これらの薬剤が効かない場合や治療抵抗性うつ病の場合には、他の抗うつ剤や後述する心理療法・電気けいれん療法(ECT)・磁気刺激治療(TMS、rTMS)が使用されることもある。

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)

最初に開発された抗うつ剤が、モノアミン酸化酵素阻害剤(MAO阻害薬)である。1950年代に発見されたこの抗うつ薬は、モノアミン酸化酵素と呼ばれる酵素の働きを阻害する。阻害することで、より多くの神経伝達物質が気分の調節に利用できるようになる。

しかし、日本では、薬剤相互作用や副作用の多さから抗うつ薬としてのMAO阻害薬は臨床では認可されていない。

三環系抗うつ薬(TCA)

三環系抗うつ薬(TCA)は、1950年代に初めて発見された古いタイプの薬物である。TCAは、3つの原子の環が相互に連結した化学構造にちなんで名づけられた。セロトニンとノルエピネフリン、アセチルコリン(骨格筋の動きを制御するのに役立つ)と呼ばれる別の神経伝達物質の神経細胞への吸収を阻害する点で、再取り込み阻害剤と同様の働きをする。

三環系抗うつ薬は、うつ病への使用に加え、慢性疼痛の治療にも効果がある。また、かつては注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもによく使用されていましたが、その後、副作用が少なく、より効果的な薬剤に置き換わってきている。

副作用:口やのどの渇き、立ちくらみ、動悸、眠気、便秘、排尿困難、目のかすみ など

四環系抗うつ薬(TeCA)

副作用:口の渇き、便秘、頭痛、眠気、集中力の低下 など

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

セロトニンの再取り込みを特異的に阻害することにより作用し、結果的にセロトニンの取り込み量を増やす効果がある。SSRIは、1970年代に初めて開発された新しいクラスの抗うつ薬である。旧来の抗うつ薬に比べて副作用が少ない傾向にあるが、それでも吐き気、不眠、神経質、震え、性的機能不全などが知られている。

また、うつ病の治療に加えて、SSRIは強迫性障害(OCD)、全般性不安障害(GAD)、摂食障害、早漏の治療にも使用されることがある。脳卒中の回復期にも有用であることが証明されている。

副作用:一過性の食欲低下・嘔気、眠気、睡眠障害、頭痛、めまい、ふらつき など

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

ノルエピネフリンとセロトニンの両方の再取込を阻害することを除けば、SSRIと同様の働きをする。ノルエピネフリンとセロトニンを同時に増やすことは、精神運動遅滞(身体の動きや思考が鈍くなること)の人に特に有効である。

サインバルタのような一部のSNRIは、うつ病の発症と密接な関係がある慢性疼痛の治療にも使用することができます。また、全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害(SAD)、パニック障害、線維筋痛症に伴う神経痛の治療にも有用であることが確認されています。

副作用:吐き気、不眠、焦燥感、下痢、頭痛、倦怠感、排尿障害 など

ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

副作用:眠気、食欲増進、めまい など

非定型抗精神病薬に属する抗うつ薬

上記のいずれにも該当しない新しい抗うつ剤も存在する。

 

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