心理学 – 専門用語集 とは | 意味・まとめ by wikiSmart ウィキスマート

心理学

心理学の専門用語集。英語との対訳表はこちら

 

ア行/カ行/サ行/タ行/ナ行/ハ行/マ行/ヤ行/ラ行/ワ行/アルファベット行


ア行

アイソモーフィズム(Isomorphism)
異質同形性のことで、二つの性質の異なる複雑な構造体の形が似ていることを意味する。家族療法では、一定のパターン化された家族成員相互の交流を指す。それらの交流は、ある家族の過程を反復しているが、その過程もまた家族の構造を反復している。面接場面での家族成員間の些細なやりとりに焦点化し、そこから現実の家族の構造上の問題点を改善させる理論的根拠ともなっている。

アートマン(梵 Atman)
我または個我。本来は呼吸の意味で用いられたが、正気、生命原理、霊魂、自己をあらわすようになった。古代インドのウパニシャッド哲学では、自己の中に中心となるものを認め、これが自己を主宰し、主体的に存在するものとして考え、これをアートマン(我)と呼んだ。そしてこの我が宇宙的最高原理であるブラフマンと同一とする梵我一如の思想を生み出した。佛教ではこれを批判して、このような主体としての我は認められないとして、すべてのものは、因縁によって生じ、普遍の実態である我は存在しないという諸法無我を説いた。

アーラヤ識(alaya vijnana)
唯識学でいう普通の人間(凡夫)の心(識)の最深の領域のこと。alayaは”蔵”を意味し、過去・現在・未来にわたって行為(カルマ)の残存影響力(種子)を蓄え、生命の維持・執着作用を行う輪廻の主体である。その性質は善悪いずれでもなく、この世でどのような身口意(身体と言葉と心)の行為をし、種子としてそこに溜めていくかによってどちらにでも変わりうるという意味で迷いと悟りの根拠とされる。

移行対象(Transitional object)
ウィニコットの用語で、赤ん坊にとっての最初の”自分でない”所有物をさす。具体的には生後4ヶ月から1年ぐらいまでに用いられるようになる毛布の端や毛糸の房などである。それは暖かさと安心を与え、感触を持ち、生命力や実在感を感じさせる。発達的には、それ以前の指しゃぶり、こぶししゃぶりなどの自体愛的現象と、その後のぬいぐるみや人形との中間にある。母親の乳房を象徴するが、その象徴性よりも実在性に価値があり、心的概念として魔術的に支配しうる内的対象とは区別される。また、現実の母親のように完全に外界の統制下にある外的対象とも区別され、両者の中間領域にある。外的対象の現実的機能が適切であれば、内的対象も生き生きとしてほど良いものになり、移行対象が幼児にとって意味あるものになる。発達的に見ると移行対象は口唇性愛と真の対象関係、幼児の一時的創造性と現実検討による客観的知覚、魔術的な全能的統制と巧みな操作による統制との、中間領域にあるといえる。

イサコワー現象(Isakower phenomenon)
Isakower,O.が1938年に発表した「入眠に関連した現象の病理心理学に対する一つの寄与」という論文の中で述べた一群の主観的感覚。身体像が歪曲したり、めまいを感じたり、音が聞こえたり、柔らかい塊のようなものを身体の外側と口の中に感じたりする。もっぱら入眠時に生じるが、そのほか、目覚めるときや発熱したときにも見られる。癲癇のアウラ、既視体験、特定の精神病状態などとも密接に関連している。

イネーブラー(Enabler)
ソーシャルワーカーに特徴的な役割の一つ。可能ならしめる人、あるいは側面的援助者とも訳される。クライエント自身が自分の問題を解決するのを可能にする人という意味。クライエントの主体性や自己決定の尊重といった原理をワーカーの立場から具体化した役割といえる。その意味で、ソーシャルワーカーの本質を示す重要な役割となる。

因子分析(Factor analysis)
数多くの変数の関係を分析して、因子と呼ばれるいくつかの変数にまとめるための統計的手法。様々な項目の関係を容易に把握することができ、心理学の質問紙調査の分析によく用いられる。

印象形成(impression formation)
他者に関する部分的な情報を手掛かりとして全体的な印象をつくりあげること。全体的な印象は情報の提示順序に影響を受け、最初に提示された情報や最後に提供された情報が影響しやすい。

ウロボロス(Uroboros)
もとはギリシア神話に現れる自分の尾をくわえて丸まっている蛇。ユングはのE. Neumannが「意識の起源史」などで、無意識から分化した個人意識が発達する過程を描き、人類の神話的時代と個人の幼児期に共通する、未分化で、ある意味で完全で全体的であり、自己完結的・内閉的でもある段階の自我状態を象徴する用語として採用した。

永遠の少年(puer aeternus)
大人の世界を拒否して、いつまでも思春期の心情で生きたがる大人のこと。親に呑み込まれて大人になれなく、現実原則の中で生きるだけの自我が育っていないともいえるが、人生の夢と心情の豊かさが利点でもある。

エゴグラム(Egogram)
エゴグラムはバーンの弟子であるジョン・デュセイによって作られた心理検査であり、自我の状態を心的エネルギーの配分によってグラフに表したものである。そのエネルギーはCP(批判的な自我)・NP(保護的な自我)・A(大人の自我)・FC(自由な自我)・AC(順応した自我)に分けられる。そして、それらのエネルギー配分を折れ線グラフに表し、そのプロフィールの上下やほかのエネルギーとの関係を似てその人の自我状態を解釈する。

応用心理学(applied psychology)
基礎心理学の研究成果に基づき、日常生活への心理学の応用を図る分野。他の学問との連携や融合も伴う。
心理学の分野「応用分野」

オルゴン・エネルギー(Orgone energy)
S.Freudのリビドーという真理的エネルギーに示唆を得て、フロイトの弟子W.Reichがオルゴン・エネルギーを想定した。オルゴン・エネルギーは概念ではなく、箱に収納できる物理的客観的実体である。これは性交時に発現する生命体の基本的生命力であると考えた。患者に内在するこのエネルギーを性格分析およびボディ・ワークで開放しようとしたのである。

音声障害(Voice disorder)
喉頭にある声帯は発声しようとすると緊張し、左右が合わさって声門を閉鎖する。声門が閉じると肺からの呼気圧が上昇し、声帯を押し広げようとし、弾性のある声帯が振動する。声の異常には、嗄声等の質の変化、変声障害などの高さの以上、失声等の強さの以上があり、器質的原因や機能的要因によって生じる。声がかれる嗄声は、急性喉頭炎(風邪による)、慢性喉頭炎、声帯の結節やポリープ、喉頭癌などによって生じる。小学校低中学年の児童に見られる「学童嗄声」は叫んだり無理な発声によるもので、声帯に小隆起、結節、浮腫を認めることが多い。声の高さの障害は、男児の変声期以後なお裏声のような高さにあるとか、女児の男声科症状がその代表的なもので、成長ホルモンが関係している。失声は声帯の外傷、麻痺、それに心因的な原因によって生じる。心因性失声症は、精神的ショックなどで突然声が出なくなる状態であるが、発声時に声帯が閉鎖しない、閉鎖しても声帯の緊張が強すぎて硬く呼気流が通過しないことによって生じる。


 

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カ行

開放系心理学(Open system psychology)
人間性心理学は人間の生きる意味を深めることを重視するが、治療者の患者への援助関係では具体的目標は明確ではなく、また結果を前もって予想することもない。そこでは発見思考、ないしは過程思考が問われるだけである。A.W,Combsはそれを開放系心理学の特徴としている。

カウンセリング(Counseling)
精神分析療法、行動療法に対して第三の勢力と呼ばれ、クライエントに対等な人間として接することを重視したため、人間性心理学とも呼ばれる。個人の独自性と成長、自己実現の能力を尊重する。

活性化(activation)
人、事物、出来事など、様々な知識は脳内にあるまとまりをもって保存されており、知識のまとまりが意識に上りやすくなっている状態を指す。

間主観性(Intersubjectivity)
現象学の用語。心理学では相互主観性と呼ぶことが多いが、両者は完全に内容を異にする。後者は個々人の認識の結果の一致度の高さをいうにすぎないが、前者では事象そのものへの接近のための還元により、自己が他者の身体を媒介として共有された世界を実現する客観性の基礎とされる。

基礎心理学(Basic psychology)
物理学や生理学の影響を受けた実験心理学、進化論の台頭から性格や知能の個体差に着目した差異心理学、これら二大研究領域からなる現代心理学の中心的分野。

キブツ(Kibbutz)
私有制を廃止して独自なコミューン作りを目指すイスラエルの農業共同体。賃金労働の廃止や男女平等、直接民主主義などさまざまな政治的な実験を試みているが、心理学の文脈ではその集団保育・教育システムに注目することが多い。キブツ内では家族の形態は保ちながらも、乳幼児はコミュニティが育成する社会的な養育の制度確立しており、親子関係に限られない多様な社会的ネットワークの中で子どもを育てるシステムの先駆的実践例となっている。

逆備給(Counter cathexis)
S.Freudは心的エネルギーをリビドーと呼び、その増加、減少、放出、置き換えなどの性質をもつものと考えたが、そのリビドーの備給は人物や物事に対して情緒的に特別な関心や注意を向けることをいう。逆備給は外的な人物や物事に刺激されて、例えば、自己愛のように自分の内面に関心を向け、外的な世界への関心が薄れる状態をいう。

鏡転移(Mirror transference)
分析療法の過程で、分析者が鏡のような物的な対象にされて、被分析者の自己愛の投影を引き受けること。自己心理学の創始者であるコフートが、自己愛人格障害に特異な転移として提唱して以来、境界例などの精神療法においても注目されるようになった。コフートによると、幼児期に十分な映し返しを受けなかった誇大自己が転移されている。

クレスピ効果(Crespi effect)
報酬の量の急変によって行動が変化する現象であり、1940年代にCrespiによって見出された。彼の実験では、ネズミに与える報酬(食物)が操作され、それまでに与えられていた食物の量を減少させられた群は、一定量を与えられている群に比較して食物への走行速度が急激に低下した。この結果は、動機づけ過程において外的刺激の機能を重視する誘因動機づけの理論を展開する上で貴重なデータとなった。

クワシオルコル(Kwashiorkor)
孤児病、乳児消耗病、タンパク栄養失調症などと呼ばれる病気。粉ミルクが高価なために、赤ん坊に薄めて与えると、タンパク質が少なくなり、そのため全身のむくみ、毛髪の変色、下痢、発育障害、それに精神的には無感情が現れる。てい開発国では深刻な問題となっている。ちなみに、クワシオルコルとは西アフリカ(ガーナ)の言葉で見捨てられた子を意味する。肉体的に回復しても、学業不信、人格の歪みが見られる。

形相(Eidos)
『論理学研究』でイデー(理念)というとくにカントを連想させる述語を用いてしばしば誤解を受けたフッサールが、それを避けるために、ドイツ語のWesen(本質)とともに、それと同義で採用したギリシア哲学的概念。『イデーン』や『経験と判断』などで使用されるが、中・後期の思索における使用頻度はWesenの方がはるかに高い。ギリシア語の「イデオン」から派生したエイドスは、イデアチオンの方法と相関的であり、それによって対象的に把握される。フッサールによれば、個物は形相を有しており、それゆえに、イデアチオンという一連の注意を要する操作を通じてそれを直感的に取り出すことができる。その際に、事象内容を含む質料的形相は「類的普遍性」を通じて得られる最上位のそれと、「種的特殊性」を通じて得られる。「形相的単独態」という最下位のそれに分類される。さらに、質料的形相は、「端的な直感と抽象的本質把握」に依拠する「類型的形相」と、精密な概念構成にもとづくイデアチオンに依拠する「理念的形相」に分類される。「形式化」の操作によって質料的なものが除外されれば「形式的形相」が得られる。このようにして獲得された諸々の形相に対応して、現象学や幾何学を含む多様な「形相的学問」が成立するのである。

ゲシュタルトの祈り(Gestalt prayer)
私は私のことをする。あなたもあなたのことをする。私は私。あなたはあなた。私はあなたの期待に応えるためにこの世に在るのではない。あなたも私の期待に応えるためにこの世に在るのではない。でも、もし偶然に、お互いに出会うことができたら、それはすばらしい。しかし、そうならなくても、仕方がない。

言語発達遅滞(Retardation language development)
それぞれの年齢で期待される水準まで子どもの話しことばと言語が発達しておらず、コミュニケーションに支障をきたしている状態を言語発達遅滞という。これには、ことばがまったくしゃべれない、ことばの数が少ない、文の組み立てがしっかりしていない、会話ができない、という問題がある。これらの症状は、音声言語を例に取れば、聴覚受容器→言語音知覚→言語の高次操作機能→表出プログラミング→発声高音器官のいずれかあるいは複数の過程の障害によって生じる。正常な話しことばと言語の発達には、中枢神経系の統合、適切な知的機能、諸感覚経路の正常な働き、順調な情緒の発達、環境からの豊かな言語刺激、そして身体の成熟などの基盤が必要である。したがって、その異常がこの過程の発達を一時的あるいは恒常的に遅らせることになる。言語発達遅滞は臨床的にI精神遅滞に伴うものII自閉症に伴うもの3脳性麻痺に伴うものIV聴力障害に伴うものV高次神経機能障害によるもの(特異的言語発達遅滞症候群を含む)VI身体発育不善によるものVII不良な言語環境によるものの7つに区分される。

見当識(Orientation)
現在、自己および自己が生活している状況を、周囲の客観的状況と個人的体験に結び付けてとらえていること。指南力とも言う。具体的には現在の時間(zeitlich)、場所(ortlich)、自己の身元存在(autopsychisch)(生年月日、年齢、家族関係、職業、自己の役割、特徴など)、外界の状況(situativ)が正しくとらえられていること。見当識が障害されていることを失見当(識)という。

構造論(Structural model)
フロイトはエス(イド)、自我、超自我の三つの組織からなる心の構造を仮定し、抑圧の無意識的プロセスを説明した。エスは社会規範や論理性を一切無視した欲求のかたまりであり、自我はエスを満たしつつ現実社会への適応を図り、超自我は自己観察の働きをする部分である。

高照度光照射療法(Light therapy)
多くは秋から冬にかけてうつ状態を呈し、春から夏にかけては寛解するうつ病の一群を言う。古くはKreapelinの教科書にも記述が見られ、季節と深い関連が伺われている。方法は太陽の昇り初めと同じくらいの2000~2500ルックスの照度が用いられる。照射場所は目を中心に顔に当たればよい。患者はずっと光を見る必要はなく、1分間に1~2秒見ることで効果が得られる。時間帯としては早朝・夕刻が効果が現れやすい。一回の照射では30分~2時間が適当。効果としては早ければ3日くらいで改善されるが、持続も短く3日くらいだといわれている。

行動主義、行動療法(Behaviorism、Behavior Therapy)
古典的条件づけ、オペラント条件づけ、モデリングなどの種類がある。行動主義の考え方では、人間の意識よりも客観的に観察可能な刺激(S)と反応(R)の関係のみから法則性を発見し、、行動の予測と制御を目指している。アメリカの心理学者ワトソンが提唱した。
行動療法では神経症などは学習された行動又は学習の欠陥としてとらえ、その修正・除去を目指す。

言葉のサラダ(Word-salad)
精神分裂病患者に現れる言語以上の症状のひとつ。後の選択や配列に混乱が生じ、重症の場合には意味が通らない発話となり、書記言語の場合にも同様な混乱が見られる。後の選択や配列には思考が介在しているから、言葉のサラダが生じたことは思考の異常が生じていることを示している。

コルサコフ症候群(Korsakov syndrome)
記名力障害、前行性・逆行性健忘、見当識障害、の3徴を健忘症候群、更に場合によっては、作話をともなうものをコルサコフ症候群ととよぶKorsakovによるアルコール中毒の際の多発性神経炎にともなう精神症状としての記載に由来するが、神経炎は必ずしもともなわず、またアルコール以外にも種々の病因(痴呆、頭部外傷など)で生じることから疾患単位ではなく症候群としてまとめられた。

 


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サ行

サイン・アプローチ(Sign approach)
長期にわたる音声言語指導によっても、きわめてわずかな音声言語コミュニケーションしか獲得できなかったり、音声模倣や発声、発声音の分化が可能でない重度知的障害児・者や自閉症児らに、サインによるコミュニケーション行動を獲得させる指導法、またはサイン言語を獲得させる指導法のことで、サイン言語法ともいう。この場合サイン言語は手話よりの広い概念である。

サーカディアン・リズム(Circadian rhythm)
ヒトを含む動植物は、例えば睡眠・覚醒や昼行性・夜行性などその活動や機能において日周期(daily periodicity)が見られ、その変化は太陽の日周期や潮騒の周期など外因性の地球物理的周期にしたがっているように見えるが、外因性周期を排除した条件下であってもこの変化は24時間よりもわずかに前後する周期を示す。このような概ね1日の内因性周期を概日リズムといい、このリズムが外因性周期に依存しないが外因性周期へ同調化(entrainment)することにより、現象としての日周期性が生じる。

自我心理学(Ego psychology)
精神分析の中でも自我の働きを重視する。人は無意識の欲望に支配されるのではなく、環境との相互作用の中で発達することができるという観点をもつ。アメリカの心理学者エリクソンが提唱した。

自殺(Suicide)
その行動が死をもたらすという現実を予想する能力を持ったものが自らの意思にもとずいて死を求め、自己の生命を絶つ目的を持った行動をとることと定義される。しかし実際には自殺か事故死か判断の困難な事例も多い。近年の日本の自殺者は年間二万人を超え、自殺率は人口10万人あたり17前後であるが、未遂は既遂の8倍くらいと見られている。日本の自殺率は世界的に見て特に高率という事はなく、また男性が多いことも同様であるが、女性の自殺率が高く男女差が少ない事、心中特に母子心中という形が多いのは特徴である。

自閉症(Autism)
1943年カナーによってはじめて報告された。主症状は(1)人間関係の困難(2)言葉をコミュニケーションの目的で用いる事が出来ず、なんとか言葉を発っせても反響言語の段階からなかなか抜けだけない。(3)同一性保持の欲求が異常に強い。(4)対人関係を忌避する反面、特定の物体には異常な興味を示す。
言語と認知の障害に基づく一種の発達障害と考えられ知的障害を伴う事が多い。

社会的ジレンマ(Social dilemma)
ひとりひとりにとっての合理的な行動が全体にとっての不利益につながってしまい、個人の利益追求と全体の利益確保が葛藤する状態。

囚人のジレンマ(Prisoners’ dilemma)
二人がそれぞれの利益を大きくしようと合理的に意思決定した場合、双方が合理的に意思決定しない場合よりも不利益を被る問題。選択によりもたらされる利益は相手の選択に依存するため、相手の選択を知ることができない状態では意思決定に行き詰りやすい。

常同症(Stereopathy)
ここの動作、身振り、姿勢、言葉などが同じパターンで一定時間以上くり返される場合を常同行動という。これが病的な行動異常となったものを常同症とよぶ。一度とった姿勢をいつまでも続ける常同姿勢、ある特定の運動を無目的に反復する常同運動、一見無意味な特定の単語や語句を持続的に反復していう常同言語などがある。精神分裂病、その中でも特に緊張病や陳旧性分裂病によく見られるが、そのほか痴呆症、重度精神遅滞、自閉症、視覚障害児、施設入所児などにも現れやすい。重度精神遅滞等によく見られる常同運動には、身体を前後左右に揺らしたり、目を指で突いたり、頭を壁に打ち付けたり、手をひらひらさせるなどの行動が多い。刺激の乏しい状況で起こりやすいとされるが、原因は明らかではない。治療は分裂病では薬物療法が用いられるが、その他の例ではオペラント条件付けなどが試みられている。

情動調律
Stern,D.N.の自己感の発達理論で提唱された概念で、母子関係発達論において、母親と乳児との間の心的経験の主観的共有を基盤として、母親が乳児の意図や情動を自分の願う心的・情動的状態へ持っていくように働きかけ、また乳児も自分の情動的状態を母親の情動的状態と対応させて、両者の間で主観的な一体感・共有世界が出来上がるという現象をさす。

スクイッグル法(Squiggle method)
狭義には、D.W.Winnicottが開発した相互なぐり書き法と訳される描画法で、その方法はサインペンでサーバーが適当な大きさの用紙にぐるぐる書きの描線を示し、それが何に見えるかを問い、レシーバーは何か描線を加えて、見えたものを完成させる。ついで、サーバーとレシーバーが交替し、同じことをする。これを数回繰り返すというものである。広義にはアメリカのM.Naumbungのスクリブル法(scribble)や、中井久夫の限界吟味法を加味したスクイッグル法、山中康裕のMSSM(交互グルグル書き物語統合)法、その発展としてのMSSM+C(コラージュを加味したMSSM)法などの、グルグル書き描線をもとにした技法全般を指す。絵画療法での上手下手が問題とならず、不必要な抵抗や緊張を無くし、とても導入しやすいので、特に小児の心理療法において力を発揮することが多い。

精神医学(Psychiatry)
精神疾患、すなわち精神の障害を対象とする医学の一分野である。従来は狭義の精神病を対象としたため精神病学といわれたが、今日では広く精神障害全般を科学的に研究し、その原因、診断、治療、予防などを追及するもので、心理学、社会学とも境を接し、研究内容によって、精神病理学、脳病理学、神経心理学、遺伝学、脳生化学、分子生物学、児童精神医学、青春期精神医学、老年精神医学、力動精神医学、精神保健、社会精神医学、司法精神医学、比較文化精神医学、精神薬理学、精神生理学などの領域がある。精神医学(Psychiatrie)という言葉はJ.C.Reilが1808年にはじめて使用したといわれる。

精神分析学(Psychoanalysis)
オーストリアの神経学者ジークムント・フロイトのによって構築された理論体系。初めは神経症の治療のために出来あがっていたが、後にはそれを包含し、治療論・人格論・発達論・性理論・無意識論・自我論・芸術論といったひとつの専門分野になっていった。

せん妄(Delirium)
意識障害の一種で、軽度の意識混濁と興奮傾向や錯覚、比較的活発な幻覚妄想の出現があり、それによる不安などの情動変化や奇異な言動がある。熱性せん妄(発熱時)、振戦せん妄(アルコール症の離脱期)や夜間せん妄(主に脳動脈硬化症や老年痴呆)があるが、その他の中毒、代謝障害、感染症などでも出現する。職業や日常習慣に関係がある言動をする場合を作業せん妄と呼ぶ。DSM-?Wのせん妄は器質性、症候性の認知・意識障害を広く含んでいる。

躁的防衛(Manic defense)
乳児が自分の攻撃性を外界に投影せずに自分自身のものとして認めることができるようになってくることにともなって、その攻撃性が自分にとって大切な良い対象を破壊してしまうのではないか、すでに破壊してしまったのではないかという不安に対する防衛機制のこと。こうした不安は罪悪感や喪失感をともなうので、こうした不安に対する防衛として躁的防衛が生じる。躁的防衛にともなう感情は、対象に対する支配感、征服感、および軽蔑である。


 

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タ行

多重人格(Multiple personality)
正式名を解離性同一性障害といい、一人の人物に異なるいくつかの人格が出現する事。人格転換とも言う。二つの人格が交互に出現するのを二重人格または交替意識といい、3つ以上の人格が交互に出現するのを交替人格という。ある人格の言動を他の人格は記憶していないのが典型である。最近幼児期の虐待や記憶障害と多重人格の発生との間に関連があるとの議論が注目されている。

ダブル・バーレル(Doble barreled)
ダブル・バーレルとは「二重性の」と言う意味であり、調査での調査票や質問紙の質問内容を作成するとき、一つの質問の中に、二つ以上の論点や事柄を含む設問を立てる事を言う。これは、調査対象者が回答するときに、混乱を生じさせやすい。特に、含まれた事柄がよく似ていたり、同種類に属する場合には、回答が不可能になったり、いずれか一方のみに回答がなされたりするので、結果にも影響する。質問文の作成にあたっては、一つの質問文には、一つの内容のみを含むようにしなければならない。

チェイニング(Chaining)
もとは鎖でつないでいくという意味であるが、心理学では新しい知識や技術を順次習得して行く際の方法をいう。これには、例えば、ボールをラケットで打ち返すといった複合行動を細かくステップ化し、その行動単位を組み合わせて、ひとつひとつ順次習得させて行く順向チェイニングと、魚釣の際に、餌のつけ方は教示するが、餌のついた竿を海や川にさすまでのステップ化した行動は本人が自発的に習得するという逆向チェイニングがある。

注意欠陥・多動性障害(ADHD、Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)
これは、精神年齢に比して不適当な注意力障害(不注意)、衝動性、多動性を示す行動障害です。症状としては注意力障害と多動/衝動を併せ持つ場合と、どちらかが主症状の場合もあります。この障害は、知能に関わらず起こりますが脳が以下の3つのレベルで普通の人と違うと考えられています。
1、マクロレベル 2、解剖学的レベル 3、分子・遺伝子レベル
また、欧米諸国の調査によると、子どもの3~5%がADHDであると推測され男女比は一般人口においてか、病院かによって異なりますが4:1~9:1と言われています。

通信分析(Respondence therapy)
面接中に行う補助的方法である。葉書、手紙、日記、詩などをカウンセラー宛にクライエントからもらい、これにカウンセラーが感想や意見を付けて返信する治療方法。例えば、家に閉じこもってしまうとか、言語化が苦手だとか、急な入院や、引越しで遠隔地に行ったとか、クライエントの事情に合わせてこのやり方をとる。互いに面識があってイメージが出来ている場合に有効性を発揮することがある。

転移神経症(Transference neurosis)
Iリビドーが自我に集中し、対象者に向かわない自己神経症と対比され、これが転移を生じない分裂病を指すのに対して、転移神経症は治療過程で転移を生じるが故に、精神分析の適応となるヒステリーや強迫神経症などを指す。
II分析治療の進展につれ、幼児期の葛藤が治療関係の中に吸収され、治療者との関係によって症状が変化するようになった状態を指す。なお、両親との関係で生じている神経症は起源神経症と呼ばれる。

統制の所在(Locus of control)
ある結果が得られた時の原因を自分の中に求める人を内部統制者、環境に求める人を外部統制者といい、内的・外的統制は一種の性格特性とされる。人の主体性、さらには無気力やうつの問題にもかかわっている

同調(conformity)
集団の示す基準に沿って、自分の態度や行動を変えること。本心から集団の意見を受け入れる内面的同調と、表面だけを集団に合わせる外面的同調が存在する。

当惑作話(Embarrassment confabulation)
記憶障害が高度になると健忘症状が著しくなり、その健忘による当惑を隠す(記憶の障害を補おうとする)ための作り話である。この作り話は一種の思い付きであるために、次から次へと変わる。コルサコフ症候群の徴候のひとつに、この作話がある。また、老年痴呆などにも見られる事がわかってきている。

特性論(trait theory)
各人の行動の記述から類似のものをまとめる作業を繰り返して導き出される行動傾向は特性と呼ばれ、様々な特性の量的な違いによって性格をとらえる手法である。詳細な行動を理解することに適しており、性格特性を効率よく適切に抽出することが求められる。

 


 

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ナ行

内観療法(Naikann Therapy)
仏教的人間観を基盤とした日本独自の精神療法で、吉本伊信によって1930年代に創始された。これは、浄土真宗の「身調べ」に端を発し、これまでの対人関係を自責的観点から徹底的に内省し、他者認知の変革を目指すものである。具体的には7日間続けて行う集中内観と毎日1~2時間行う分散内観に分けられ、「してもらったこと・して返したこと・迷惑をかけたこと」という観点から家族や友人などの特定の人ごとに対人関係を経時的に考える。そして、カウンセラーが2時間に1回程度訪問して指導や助言をする。
内観をすることによってI愛されている自分の発見II自己中心的な自分の発見III問題や症状に応じた発見、がなされる。それらは知的洞察だけでなく深い感動を伴ったものである。

内的統制型(Intrinsic control type)
クライエントのタイプ分けで、心理精神的によく発達している人のことをいう。比較的自分の実力を信じていて能動的で、責任感も気力も優れた様相を示す。自分の感情のコントロールもでき、現在や未来を生きる自信を持ち、より高い自己開発を志向している。マイクロカウンセリングの発達レベルでは、このタイプをD-4と呼び、カウンセラーはあまり関わらず、観察的技法をとって臨む。

日内変動(Diurnal variation)
病気の症状の一日の変動を日内変動という内因性のうつ病における気分の変動が典型例である。朝型に憂鬱で行動思考などの抑制症状がひどく、夕方になるにつれて軽くなるというものである。神経症のうつは逆に朝方気分がよく夕方になるにつれて元気が無くなる傾向があるが、内因性のうつ病ほど明確ではない。うつ病は、生体リズム(日内リズム)の乱れから早朝覚醒や途中覚醒などの睡眠障害を伴うことが多い。

認知的不協和(Cognitive dissonance)
相容れない矛盾点を含む態度や考えを同時に保持すること。矛盾が生じることが予想できる場合にはあらかじめ矛盾を引き起こしうる情報からの回避策をとり、矛盾が生じた場合には一方の認知要素の重要性を変えたり、新たな認知要素を加えることが多い。

認知療法(Cognitive therapy)
A.T.Beckによって始められた短期精神療法の一種で、認知のゆがみに焦点を当てることによってうつ病やパニック障害などの治療を行うもの。認知を通した人間の主観的体験が人間の情緒体験と密接な関係を有すると言う理解に基づいている。認知のゆがみは、自動思考と仮説/スキーマと言う二つのレベルに表れる。自動思考とは、ある状況下で瞬間的に現れる考えやイメージである。仮説/スキーマとは、心のより深層に存在している自己・世界・将来に対する仮定的確信・心的態度・心的規則である。治療に際しては、患者と治療者が一緒に患者の認知のあり方を検証して行く共同経験主義が特に重視されている。その中でまず問題を明確化し、自動思考を同定・検討し、仮説/スキーマを同定・検討する。治療過程では、不適応的思考記録や宿題を通して認知のゆがみを検討していく。よく見られる認知のゆがみには、恣意的推論、二分割思考、選択的抽出、過大視/縮小視、極端な一般化、情緒的理由付け、自己関連付けなどがある。このような認知のゆがみに対して認知的技法と行動的技法でアプローチしていく。

ヌミノース(Numinous)
主体の意思を越えて意識に特異な変容を引き起こす宗教的経験をいう。この経験は、神秘的で謎めいており、強制力を持った強烈なものであるだけでなく、さらに深く印象的で運命的なメッセージをもたらすものである。この経験は基本的にどの宗教体験にも共通である。

ネオテニー(Neoteny)
本来的には、ある種内でいまだ幼形にある固体が生殖活動を示し始める現象をさす。しかし、今日では近縁の複数の種間で、一方の種では幼形である段階の形質が、他では発達の完了段階であるにもかかわらず、なお維持されている場合の後者のことを意味して使われることが圧倒的に多い。個体発達を進行させている一種の時計が、系統進化の過程で「異時性」(heterochrony)を示すのだという考え方も提唱されている。

ねずみ男(Rat man)
S.Freudが約11ヶ月間精神分析治療した強迫神経症患者。フロイトは、この経験を基に、1909年に「強迫神経症の一例に関する考察」と題する論文を発表した。29歳の弁護士である患者は、軍隊で肛門にねずみを押し込むねずみ刑の話を聞いて以来、「父と恋人がこの刑を受けたら大変」という強迫観念に苦しむようになる。S.Freudはこの患者の分析を通して、思考の万能、疑惑、両価性、反動形成、隔離、肛門サディズム段階への欲動の退行、思考現象の性愛化などの強迫神経症の特性を明らかにした。

のみ込み(Engulfment)
R.D.Laingによって使用された語で、他者との関係が自分の同一性に対する破壊的脅威として体験されるような、一時的存在論的安定を欠いた人たちを悩ませる不安を表す。

 


 

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ハ行

バーナム効果(Barnum effect)
性格について誰にも当てはまるような一般的な内容も、自分に当てはまるといわれることで信じてしまう現象。自尊心をくすぐるような記述があるとより効果的である。

バウムテスト(独 Bumtest)
K.Kochが開発した樹木描画テストである。画用紙に描かれた樹木画は所与の環境の中で生きる被検者の投影であるという前提のもとに、筆跡解釈論と空間象徴理論により解釈を行うことにしているが、不確定要素がかなり多い。被検者が描いた1本の「実のなる木」について、まず形態分析により発達水準分析を行い、さらに空間象徴の分析がなされる。

パラノイア(Paranoia)
古くは偏執狂と呼ばれ雑多な疾患を含んでいた。E.Kraepelinはこれを、分別が完全に保たれながら、持続的な妄想体系が徐々に形成される疾患と定義した。その後は範囲をめぐって議論が多く、今日ではドイツの控訴妄想、フランスの熱情妄想や加害的被害者をパラノイアの中核と見る見解が少なくない。

パレイドリア(Pareidolia)
雲が大入道に見えたり、壁のシミが人の顔に見えたりする錯覚の一種で、変像(症)とも言われる。実際にはそれらが雲やシミであるという批判力を持ちながらも、対象が実際のものとは違って知覚されることをいう。情動や連合過程からは説明されず、意志に反して現れる現実の知覚の変形である。熱性疾患やせん妄に際して体験されることが多い。

ハロー効果(Halo effect)
ある人物が望ましい特徴をもっていることで、その人物が全体的に望ましく見える現象。光背効果ともよばれる。

汎適応症候群(General adaptation syndrome)
1930年代後半にカナダの生理学者セリエによって提唱された概念で、外界の要求(ストレッサー)によってもたらされる身体のあらゆる非特異的反応のことである。これは時間と共に以下の3相を経て進行する。I警告反応期(stage of reaction):ストレッサーが加えられた直後に一時的に身体の抵抗力が低下するショック相と、それに対する防衛反応として抵抗力が高まり始める反ショック相からなり、ストレッサーに抵抗するための準備態勢が整えられる。II抵抗期(stage of resistance):ストレッサーに対する抵抗力が正常時を上回って増加し、維持される時期である。III疲憊期(stage of exhaustion):さらにストレッサーが持続すると、抵抗力は再び低下し、生体はもはやストレッサーに耐えられなくなって、さまざまな適応障害が生じる。

ビッグ・ファイブ理論(5大因子理論、Big Five personality traits)
人の性格を表す言葉をたくさん集めていくつかの次元に分類してまとめる考え方を性格特性論といい、現代の性格特性論では外向性・勤勉性・知性・情緒安定性・協調性の5つの特性で人の性格を大まかに捉えられるとされる

描画療法(Drawing Therapy)
芸術療法の中でも患者が絵を描くことによって治療をすることを描画療法と呼び、広く使われることの多い精神療法である。描画療法には課題画と自由画、集団法と個別法に大別できる。また風景構成法などの様に検査と治療両方に使えるものもある。描画療法では、患者と治療者のラポールを第一に考え、患者の感情の流れるままにそれに寄り添うようにしなければならない。そして、そこで描かれる絵に対して解釈することも大切ではあるが、それ以上に患者と共にその作品を味わうことのほうが大切なことである。

平等に漂う注意(Evenly suspended attention , Free-floating attention)
フロイトが精神分析療法で行われる自由連想法において、治療者のとるべき基本的態度として用いた概念である。標準的な精神分析療法では、患者は寝椅子(カウチ)に横になって、頭に浮かんでくる事柄について自由連想して行くが、その際に治療者は、患者の連想に耳を傾けつつ、その全体の雰囲気や様子に「平等に漂う注意」を向けつつ、その無意識を探求する。フロイトは、特定の事柄に特別な注意を向けることを禁じて、聞き取られる一切の事柄に関心を向けるように主張した。これを怠ると、話題として提供された特定の材料を、治療者が主観的に選択してしまうと言い、これを行ってはならないこととした。この態度は一般の心理療法でも適用され、面接者は常に来談者の全体に向けての「平等に漂う注意」が求められる。それは、語られる内容だけでなく、身体などの非言語的表現、感情の調子、全体の雰囲気など、相手の全体に向けてと、面接者の内部に生じる感情状態や二者間の関係の中で生じている現象にも広く向けられている。この態度は明瞭な意識的な努力下で行われるものではなく、面接者の無意識的領域にまで拡大した。焦点の広がった注意のあり方である。フロイトはこれを「無意識を受容器官として用いる」と言っている。

フェヒナーの法則(Fechner’s law)
感覚の大きさは刺激の強さの対数に比例する。刺激を徐々に強くしていくことで、最初は刺激の増加を感じるが、いずれ変化を感じにくくなる。

フェルト・センス(Felt sennse)
意味を含んだ身体感覚をいう。フォーカシングの鍵概念で、E.T.Gendlinの造語。日常生活や人生と関連のある身体感覚である。「何か軽い」と感じたら書類を忘れてきていたりすることに気付くように、日常生活で起きているどんなことでもフェルト・センスを引き起こす。しかし、それは漠然としたり、あいまいなため見逃されてしまう。フェルト・センスに適切に関わると、その意味や情報が明確になることでフェルト・センスそのものが開放され、変化する。

フォークロジャー(Foreclisure)
本来は法律用語で、抵当権の受戻権喪失、つまりは抵当流れのこと。J.E,Marciaはこれを心理学用語として採用し、本来は自分にふさわしい思想、価値観、役割など主体的に求めるべきなのに、それを早期に放棄して、権威者の説を鵜呑みにして自分の固定的な信念にしてしまう傾向を意味する。

不正咬合(フセイコウゴウ)(Malocclusion)
顎、顔面、歯などが遺伝的もしくは後天的環境因子などにより、その発育・形態・機能に異常をきたし、歯の噛み合わせが正常でなくなった状態をいう。一般的には、「受け口」「乱ぐい歯」「出っ歯」などといわれる状態。原因としては遺伝的要因が最も多く影響する。その他には唇顎口蓋裂(みつ口)や歯数の異常、小帯異常などの先天的発育障害。後天的なものとしては指しゃぶり、爪噛みや舌・唇などによる悪習癖、その他むし歯や外傷などによる乳歯の早期喪失、鼻炎などによる口呼吸などがあげられる。指しゃぶりなどの習癖は少なくとも歯が生え代わる年齢までには消失させておきたい。遺伝的なものでない反対咬合(うけ口)や歯列が交差している幼児が時々見られるが、発育とともに治る場合もある。永久歯に生え代わる時など治りやすい時期なので定期的に歯科で受診することがよく、また良く噛んで顎を発育させることも大切である。

フラッディング(Flooding)
恐怖の対象にいきなり直面させ、十分に恐怖およびそれにともなう反応を体験させると同時に実際には何も危険な事態が生じないことを体験させることで恐怖症を治療する一義法。特徴的なのは、あまり怖くないものから徐々に訓練していくのではなく、いきなり一番怖いものに直面させる点である。実際に恐怖対称と直面させ、積極的に恐怖対象とそれによって引き起こされる自分の症状を、できるだけ客観的、理性的に観察させる方法。恐怖対称をできるだけリアルにイメージさせ、恐怖によって引き起こされるであろう自分の症状や言動を次々にイメージさせる方法。自分の症状がさらに悪化した状態をイメージさせそのような反応を起こすことをユーモラスにとらえさせようとする方法などいくつかの種類がある。いずれにしても、たとえば「水を極端に恐れて取り乱す人」に川に飛び込むように提案する場合にさまざまな危険性が予測されるように、クライエントの諸状況を考えてこの技法に適している場合のみに慎重に用いるべきである。

閉鎖系心理学(Closed system psychology)
援助関係の中で、明確な目標と緻密な計画を持ち、刺激―反応原理または因果関係が不動のものとして存在する心理学のこと。例えば行動療法や認知療法などがある。

補瀉(ほしゃ)
東洋医学では病気を生体の虚実としてとらえ、正気の不足した虚の状態を補い、邪気が実しているところを取り去り、全体のバランスを取ろうとする。基本的には心理療法の考え方と同じである。


 

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マ行

マスキュリン・プロテスト(Masculine protest)
男性的抗議のこと。S.Freudは、女性はペニスが無いので男性を嫉妬したり憎悪するとし、これが女性の劣等感の根源にあると考えたが、A.Adlerはこれに対して、女性が男性を妬むのは、生物学的問題ではなく社会的問題であると考えた。すなわち、女性にとって女性であることは社会的に見て一種の劣等性であるが、その劣等性を女性が男性のように振舞ったり、あるいは、男性の悪徳を真似ることなどで、過度に保証することをマスキュリン・プロテストと呼んだ。この後は、女性についてだけではなく、過度に男性性を誇張する男性についても使われている。

まだら痴呆(Lacunal dementia)
痴呆の性状を示す用語。脳動脈硬化性痴呆では、記銘・記憶力障害が高度の割には日常的な判断力、理解力が比較的保たれ、知能の侵され方にむらがあるため、その痴呆の性状を表現して「まだら痴呆」という。これに対して老年痴呆のように侵され方が一様なのを「び慢性痴呆」あるいは「全般性痴呆」と呼ぶ。

マルトリートメント(Maltreatment)
トリートメントとは、世話、ケア、治療などの意味。ソーシャルワークの介入を指す言葉として用いられたり、施設や家庭でのケアを目指す言葉として用いられたりする。マルトリートメントは、このような行為がうまく行われていない状況をさす。近年では、子どもの虐待を指す言葉としても用いられている。その際には、「不適切な関わり」と訳されている。子どもの虐待は、一般には、child abuse and neglectという英語が当てられるが、日本語および英語ともに、保護者に与えるマイナスイメージが強いこと、また行為の範囲が狭く受け止められがちであることにより、マルトリートメントや不適切な関わりという用語が用いられる場合がある。

ミュンヒハウゼン症候群(Munchausen syndrome)
R.Asherによって1951年にはじめて記載された症候群で、ほらふき男爵と呼ばれたミュンヒハウゼンにちなんで命名された。アッシャー症候群、Ahasverus(さまよえるユダヤ人)症候群、hospital hoboes(病院放浪者)とも呼ばれ各地を転々とし、身体症状を捏造して多くの病院に入退院を繰り返し、虚偽の多い劇的な病歴や生活史を述べる患者を総称しており、ヒステリー、精神分裂病、マゾヒスト、人格障害などに認められる。親が子どもに人工的操作で派手な症状を起こさせて受診するのは代理ミュンヒハウゼン症候群という。

無意識(unconscious)
I記述的には、一定時点において意識されない事象や行動を意味する用語として、形容詞や副詞として用いられる。
IIS.Freudの精神分析理論による局所論的な立場からのもので、心的構造ないしは心的体系を構成している一領域(局所)を意味する用語。通常では意識化不可能な心的内容を含んでいる領域、を示す。つまり、意識および全意識に対する無意識である。
III力動的(dynamic)な立場からは、無意識の内容、つまり、「無意識的なもの」を意味する。それは、抑圧の作用によって意識―全意識系に現れることを阻止されているものである。なお、これらは快感原則にしたがっている。

メタアナリシス(Metaanalysis)
治療効果の研究で、複数の治療方法の間で効果を数量的に比較・評価する統計手法。以前は、文献レビューによって治療効果を評価することが一般的であったが、レビューを行う者の主観の影響という問題があった。近年では、多数の、対照群のある治療効果研究から効果サイズを計算し、それに基づき数量的な評価を行う場合が多い。

メタ認知(Metacognition)
目標を達成するために、自分の遂行している認知過程の状態や方略を評価し、行動の調節・統制をおこなう過程(モニタリング)や、モニタリングに伴う感覚・感情(メタ認知的経験)、評価や調節に使用するために認識された知識(メタ認知的知識)を総称してメタ認知と呼ぶ。認知過程を意識化することが、計画的な行動や、行動の般化を可能にすると考えられ、重視されている概念である。1970年代初めに、記憶の領域で研究が始められたが、その後さまざまな認知的行為について研究が行われている。メタ認知的知識には、遂行する課題の構造や過程についての知識、課題を行なう方略に関する知識、課題を行う自分の能力や特性に関する知識、およびそれらが組み合わさった知識が含まれる。メタ認知的知識は比較的安定した事実的・長期記憶的知識であると考えられ、質問紙や面接により調べられてきた。メタ認知は、認知発達や特定領域の行為の熟達化に伴い、発現することが示されている。だが、意識化の程度や獲得の過程、機構に関しては、まだ一定の知見は得られていない。

モラリズム(Moralism)
幼児は物と心のく区別をすることが出来ないため、物の動きを心の働きとして説明しようとする。例えば、ボートは賢いから水の上に浮くことが出来ると考えるなどがある。

 


 

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ヤ行

ヤァヴィス症候群(YAVIS syndrome)
YAVISはyoung、attractive、verbal、intelligent、successfulの頭文字で「若くて魅力的で言葉をうまく使えて羽振りの良い人」を指す。W.Schofieldによれば、男性の心理療法家はYAVISの女性をクライエントに選びたがる傾向が強いことから、この用語が生まれた。

ユング心理学(Jung Psychology)
スイスの精神科医C.G.ユングによって体系化された心理学。精神分析に基礎をおきながらも、無意識の性衝動に焦点を当てるよりも、人類共通の普遍的無意識に焦点を当て、現象よりもむしろイメージや夢といったことを扱う。また、童話や神話なども取り上げながら、心の宇宙を解明しようとしている。

予期不安(Anticipative anxiety)
現実的理由がないのに不幸が起こるのではないか等漠然と色々な事に懸念を向ける不動性の感情。対象が明確な現実不安とは区別される神経症的な不安。

 


 

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ラ行

来談者中心療法(Client-centered therapy)
C.R.Rogersが提唱したカウンセリングのひとつでクライエント中心療法とも呼ぶ。指示療法のように面接者が来談者に指示や助言を与えるのではなく、どこまでも来談者に主体を置き、面札者は来談者の悩みや感情などすべて理解し、受け入れる事によって来談者の自己理解と自己洞察を期待する治療方法。これは主に治療の初期に用いられ、時に支持的療法と組み合わせて行われる事もある。
また、人格変容のための必要十分条件として、
I二人の人間が心理的接触を持っていること。
II第一の人―これをクライエントと名づける―は不一致の状態にあること。
III第二の人―この人を治療者と呼ぶ―は、この関係の中で一致しており、全体的統合を持っていること。
IV治療者は、クライエントに対して、無条件の積極的な関心(unconditional positive regard)を経験していること。
V治療者は、クライエントの内的枠組(internal frame of reference)についての共感的理解(empathic understanding)をしており、そしてこの経験をクライエントに伝達するよう努めること。
VI治療者の共感的理解と無条件の積極的な関心を、クライエントに伝達するということが、最小限達成されること。
という6つの条件をロジャースは提唱している。

リゾーム(Rhizome)
根茎のこと。転じて拡散的な多数多様体を形作るものを意味する。この概念は、従来の既存の答を収的にもとめる思考形態と対立する。学校での教育は、教師が生徒に既存の答を求めさせることが多いが、これからは生徒の思考の拡散を促し、創造性を発揮する教育へ転換すべきであるという見解を取る人が、このリゾームという語を用い始めた。

臨床心理学(Clinical Psychology)
人間の適応の問題に関連して心理査定や心理療法を行う理論的・実践的に探求する応用心理学の一分野。

臨床心理士(Clinical Psychologist)
臨床を実践の場とする心理学技術者を指し、狭義には医療施設や行政機関において患者や被相談者(クライエント)の心理学的的な側面の諸判定を行い、必要に応じて心理療法やカウンセリングを実施する事を業務としている。広義には、地域・職場・学校などにおける健康者をも対象とした幅広いメンタルヘルス活動の実践・指導が含まれる。

類型論(Typology)
一定の理論や基準によって多様な性格をいくつかのタイプに分けて理解しようとする方法。人の性格を全体的に捉える利点がある一方、複雑で多様な性格を少数の類型に分類する限界が指摘される。ユングタイプ論などに代表される。

類催眠経験(Hypnosis-like experiment)
催眠誘導過程や催眠状態以外の場面で体験される催眠類似の心理・生理的体験や現象のこと。また覚醒状態と催眠状態との中間段階の心身の状態での体験を指すこともある。心身の弛緩、四肢や全身の倦怠感、眠気、ゆったりした気分、意識の変性、受動的な注意、非暗示性の亢進、役割演技、自我統制の放棄、退行、幻覚やイメージ、至高体験などが体験される。類催眠経験を調査することで催眠感受性を予測しうる。

レジデンシャル・セラピー(Residential therapy)
高齢者のための老人ホームでの療法、非行・犯罪者のための少年院や刑務所での療法、情緒障害児短期治療施設での療法などの総称。時には入院患者のための病院での療法や、治療キャンプ、治療的野外活動そのものを指すこともある。特色は家庭から離れたところで、集団で、作業、スポーツ、レクリエーションなどを行いながら、心身の回復や健康の増進を目指すところにある。

ロールシャッハ・テスト(Rorschach test)
1920年、スイスの精神科医ヘルマン・ロールシャッハが考案した心理検査で、左右対象の不規則なインクのしみを見てを提示して何に見えるのかという反応から知的側面、適応、情緒、をとらえて行く。


 

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ワ行

笑い(Laughter)
Bergsonが、人間を「笑うことを心得た動物」と呼んでいるように、笑いは大脳新皮質系の発達した人間だけに特有の精神活動である。生理的、心理的、社会的な意味を持つ。

われわれ意識(we-consciousness)
血縁その他の理由によって同一集団を形成する人々が共有する意識や感情を指す。特に同じ集団に属する成員が、他者に対して持つ仲間意識や一体感を指すことが多い。


 

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アルファベット行

CMI(Cornell Medical Index Health Questionnaire コーネル医学的健康調査票)
コーネル大学のBrodman,K,によって1949年に発表された健康調査表のことをCMIという。はじめは外来患者の心身の自覚症状を短時間でスクリーニングすることを目的にしており、医師による問診の聞き落とし、患者の言い落としを防ぎ、診断の助けに使用する意図であった。その後CMIが心身症・神経症などの判定にも有力であることがわかった。臨床現場においては一般医が忘れがちな心理面を把握でき、教育相談、カウンセリングの場、職場の衛生管理での心身両面の情報を調査することに用いられている。
CMIの構成は「医学的面接の補助手段」として発表されたように、ある人格理論から導き出されたものではなく、医師の問診をそのまま質問紙形式にしたものであるので、厳密な意味においては性格検査と呼ぶ事はできない。CMIは身体的自覚症状についての12尺度と、精神的自覚症状の6尺度に大きく分ける事ができる。項目数においては195項目、日本版では男子用16項目、女子用18項目が追加されている。であるから大体30分ほどの時間で終了する事ができる。
CMIはスクリーニング用に開発された検査であるので、短時間で判定する事ができる反面、診断的な意味においてはほとんど役に立たない。また神経症傾向のスクリーニングに大いに役に立つ事はわかっているが、客観的、機械的に判定しているので個々人の特徴がないがしろにされる事もあるし、統計上の見落としが必ずあるという点に注意しなければならない。また、MMPIのような妥当性を検証する事ができないので、病識のない精神病圏の患者を見落とす事がある。あくまで、診断や治療の手がかりであると認識しなければならない。

MMPI(Minnesota Multiphsic Personarity Inventory ミネソタ多面人格目録)
MMPIは1940年にS. HathawayとJ. Mckinleyによって発表された質問紙である。そして、日本では1950年代から翻訳されて広く用いられている。この検査の特徴は550項目で構成された3件法による質問から成っており、性格を多面的に把握するとともに、精神医学的特徴を示す群を選別することができるようになっている。さらに被験者が意識的無意識的に応答を歪めた場合、それを検出することができるように、4つの妥当性尺度を設けており、応答態度の信頼性、妥当性を数量的、客観的に判断することができる。具体的には、臨床尺度は心気症性尺度(Hs)、抑鬱性尺度(D)、ヒステリー性尺度(Hy)、精神衰弱性尺度(Pt)、分裂性尺度(Sc)、性度尺度(Mf)、偏執性尺度(Pa)、精神病質性尺度(Pd)軽躁性尺度(Ma)、(社会的向性尺度(Si))の10尺度であり、妥当性尺度は、疑問点(?)、虚構点(L)、妥当性得点(F)、修正点(K)の4尺度がある。MMPIのもう一つの特徴は、総質問数550問に達していることから、いまだいずれの尺度の質問項目となっていないものも多数あるので、これらは研究により、尺度を追加することができる可能性を秘めている。実際、既にいくつかの追加尺度ができており、臨床尺度にあるsi尺度も追加尺度のうちの1つである。
MMPIが開発されてから50年以上経ったが、今日でもよく使われ、研究数も多い心理検査の1つであり、アメリカでの心理検査の研究の半分はMMPIであるようだ。しかし、日本においてはMMPIは臨床現場においてはあまり使われていないようだ。やはり550問という質問の多さが災いして、患者やクライエントに対して大きな負担をかけてしまうので、使いづらいというのが本音のようである。また短縮版として383問のMMPIも作成されているが、これもあまり普及していないようだ。研究数ではアメリカほどではないが、かなり多い。やはりMMPIは臨床用ではなく研究用の心理検査といえるのではないかと思うが、その反面これほど無限に可能性が開かれている心理検査はほかにはないので、その魅力はあまりにも大きいようだ。

P-Fスタディ(Picture-Frustration study 絵画欲求不満テスト)
ローゼンツヴァイクが1945年に欲求不満への反応を知るために作ったテストであり、日常誰もが普通に経験する欲求不満の場面を描いた24枚の線画を用いる。線画はみな表情を省略してかかれており、会話している部分が空白になっている。検査ではその空白の部分に思った反応を書く込むように教示される。その反応をAgressionの方向(外責的、内責的、無責的)と型(障害優位、自我防衛、欲求固執)に分類する。

PM理論(PM theory)
三隅二不二が提唱したリーダーシップ論。リーダーの目標達成行動(Performance)と集団維持行動(Maintenance)によってリーダーシップを捉え、それぞれの行動の高低に応じて4つの類型に分類する。

SSRI(selective serotonin reuptake inhibitors)
「選択的セロトニン再吸収阻害物質」の略で、新世代の抗鬱剤の一群の事。そのメカニズムは、神経伝達物質であるセロトニンを放出するシナプスに選択的に作用し、シナプス前部のトランスポーターからのセロトニンの再吸収を抑止し、シナプス中のセロトニン濃度を上げる事で、セロトニンの吸収を促進するというものである。代表例として、「ルボックス」「デプロメール」等が挙げられる。

TAT(Thematic Apperception Test 主題統覚検査)
Morgon,C.&Murray,H.によって作成された投影法的心理検査の一種で、刺激図版に対してひとつの物語を被検者に作ってもらい、そこからその人のNeedとPressを理解していくものである。マレー板TATは1935年に制作されたが、その他にCAT(児童用)、ブラッキーテスト、MAPs、などが考案され、日本においても名大版、精研版、などが作られている。

YG性格検査(Yatabe-Guilford Personality Inventory)
性格論では大きく分けて、類型論と特性論に分けることが出来、YG性格検査は特性論の影響を受けギルフォードによって開発された。内容は12尺度のそれぞれの量的差異を比べて個々の性格を見るために作られた。YG性格検査は矢田部らによって日本人に適用できるように翻訳したものである。当検査は、抑うつ性尺度、気分の変化尺度、劣等感尺度、神経質尺度、主観的尺度、協調性尺度、攻撃性尺度、活動性尺度、のんき尺度、思考的外向尺度、支配性尺度、社会的向性尺度、の12尺度各10項目の計120項目より構成されている。日本においてはよく使われている心理検査のうちの1つである。

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