ユング心理学 とは | 意味・まとめ by wikiSmart ウィキスマート

心理学
カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung、1875年7月26日-1961年6月6日)は、スイス生まれの精神科医であり、分析心理学の創始者である。20世紀における人間の心理学に関する最初の作家であり、最も広く読まれている作家の一人である。フロイト、アドラーと共に、今日の心理学の大きな流れを作った人物であり、ユングの業績は、精神医学、人類学、考古学、文学、哲学、宗教学などの分野に広く影響を与えた。

ユング心理学(分析心理学)の基礎概念

フロイトと決別したユングは、ユング心理学(分析心理学)の心理学派を立ち上げた。ユングは心理学の「学派」の創設には慎重であったものの、人間の心理を研究するための独特なアプローチを開発したのは確かである。

ユングはフロイトの精神分析法から無意識、夢分析、自由連想法など多くの概念や手段を学んだが、ユングはより多くの先進的な心理学的概念を独自に提唱している。それらは以下の通りである。

ユング心理学(分析心理学)の詳細

キャリアの初期にスイスの病院で精神病患者を診ていた頃、フロイトをはじめとする急成長中の精神分析コミュニティとの共同作業を通じ、彼は人間の無意識の神秘的な深みに迫ることができた。ユング心理学(分析心理学)はその発達の最初から臨床的という性格をもっていた。 彼は、自分が見たものに魅了され、さらに個人的経験や疑問から情熱を傾け、無意識の探究に生涯を捧げた。しかし、彼は実験的な自然科学がその目的を達成するための最良の手段であるとは思っていなかった。ユング心理学(分析心理学)は一般的には体系的であると言われるものの、論理性や統一性よりも、臨床的に患者の治療に当った一人の医師が人間の様々な存在の様態から逆に理論を教えられ(学び)、独自の心理学を徐々に構成していったという特徴がある。

ユングは最終的に、人文科学の研究を通して心理学を理解しようとした。『精神分析レビュー(Psychoanalytic Review)』誌に寄せた手紙(1913年秋号)に彼はこう書いている。

「心の比較解剖学に光を当てるべき精神科学の多様な領域を習得することは、個人、特に医師の能力を超えている…医療系心理学者(精神科医・心理学者)だけでなく、言語学者、歴史家、民俗学者、民族学者、哲学者、神学者、教育学者、生物学者の協力も必要としているのだ」。

ユングのライフワークの最大の目標は、個人の人生と超人格的な元型の世界を調和させることだった。そのためには、個人と無意識との出会いが重要であると考えたのである。人間は、夢や芸術、宗教、人間関係や人生の営みの中で演じる象徴的なドラマなど、人生のあらゆる場面で遭遇するシンボル(象徴)を通して無意識を体験する。無意識との出会い、そして個人の意識とこの広い世界との調和に不可欠なのは、この象徴的な言語を学ぶことである。心を開き、(現代の西洋人の目には全く異質に映る)この世界に注意を払うことのみが、個人の人生をこれらの超人格的な原型の力と調和することを可能にするのである。

ユングは、この「精神世界(inner space)」の探求をライフワークとしていた。彼は、フロイト理論の素養と、神話、宗教、哲学の無尽蔵ともいえる知識を備えていた。特に、グノーシス主義、錬金術、カバラ、ヒンドゥー教や仏教などの、複雑な神秘的伝統の象徴に精通していた。ユングのライフワークは、この土台に立ち、無意識と、それが集合的無意識の元型を通じ象徴的に現れるような習性を理解することであった。後年、ユングは意識と無意識が統合している精神の超越的機能について語った。その超越的機能により、自己の可能性を最大限に発揮できると考えたのだ。

ユング心理学(分析心理学)は、主に集合的無意識(文化の違いを超えて全人類に共通する意識の部分)が人格にどのような影響を与えるかを探るもので、精神障害者のみならず、自分自身の心理的発達や快適な暮らしを増進したいと願う人にも活用されている。ユングの心理学は、人類学、占星術、錬金術、夢、芸術、神話、宗教、哲学などの世界を探求し、精神を理解することを重視するアプローチであった。

ユングは、相反するもの(例えば、男性性と女性性、思考と感情、科学と精神性)を統合することの重要性を強く信じていた。夢を分析した最初の人物ではなかったが、夢分析への貢献は大きく広範囲に及ぶ影響力がある。彼は生涯を通じ、理論心理学者であり、臨床医でもあったが、研究の多くは、比較宗教学や哲学、芸術や文学の批判に至るまで人文科学の他の領域にも及ぶ。こうしたユングの思想は、大学の心理学の授業ではあまり触れられないが、人文学の授業ではしばしば取り上げられる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました